緋山酔恭の「価値論」 価値とはなに? 真理とはなに? パルメニデスの「ある」①



価 値 論


q第四章

真理とはなに?


 




【 パルメニデス 編 】




パルメニデスの「ある」 ①



西洋哲学でいうと

パルメニデスの「ある」

プラトンの「イデア」といった真理も


日蓮仏法の「南無妙法蓮華経」と全く一緒です


つまり、真理でなく、価値にすぎません




パルメニデス(前500年また前475とも~没年不明)

という人は、形而上学の祖と呼ばれています


その論説とは

感覚がつくり出している現象世界と

そこでの運動と時間は錯覚であって

「一」(ある)のみが存在するというものです




【 「有るもののみあり、有らぬものはあらぬ」

「成る」「滅する」はない


eon(ある)は、不生不滅、全体、一、連続としている



「ある」が「あらぬ(=無)」から生じたと考えることはできない

なぜなら「無」は、語ることも考えることもできない


だからと言って「ある」(A)が、別の「ある」(B)から生じたとすると

「ある」(A)は、無であったことになって、矛盾が生じる


よって、「ある」(存在)に先行する「ある」(存在)はありえず

「ある」(存在)の後にくる「ある」(存在)もなく

「ある」(存在)は、過去も未来も持たない、時間を持たない


人が感覚する「生成変化する世界」「時間的な世界」は虚妄であり

ヌースあるいはロゴスといった「理性」によってのみ

「ある」の真を、理解することができる 】 というものです





プラトン(前427~前347)の「イデア論」は

超自然的なイデア界

パルメニデスでいうところの「一」(ある)が存在し


個々の事物は

イデア界のイデアによって作られている

といったような話です





パルメニデスの論説というのは一元論です

仏教でいうと、禅宗の立場がそれにあたります



禅では「万法帰一」(ばんぽうきいつ)といって

大宇宙のすべてのものは一から生じ、一に帰するとされています



つまり、机だの、椅子だの、ペンだの

消しゴムだの、ノートだのというのは

人間の分別(ふんべつ)によって作り出された差別(区別)世界で

本来、真理は1つであるということです


なので、自と他の差別も、仏と衆生の差別もない

生死(しょうじ)も存在しない ということになりなります



生死がない(不生不滅)ってどういうこと?

波がしらであるときが生、海にもどるときが死

波がしらも本来、海として1つということですね





パルメデニスは

感覚でものごとを判断し

それを「真理」と認識するのは誤りである


真理とは、感覚を捨て去った

≪理性≫によってのみ体験されると説いた とされます





西洋哲学においては、パルメニデス、プラトン以来

≪絶対的な真理≫の存在を主張する立場は、脈々と続き


ドイツ観念論の権威である ヘーゲル(1770~1831)は

≪現象世界の全ては、絶対精神(宇宙精神)の自己表現≫

≪歴史はその絶対精神が

自己(絶対精神自身)を認識する過程である≫

なんていう宗教とあまり変わらない考えに陥っています





一方、釈迦は、【 全ては、因(直接的な因。原因)と

縁(間接的な因。助因)が「因縁和合」して生起している


だから、創造神や、唯一絶対神、あるいは、宇宙の根本原理や

宇宙の根源的な法則 なんていうものは存在しない 】

という「縁起説」を説いています






おおざっぱにいうと


宇宙の根本原理 宇宙根源の法則なんてものを

否定し、縁起を説いたのが、釈迦


宇宙の根本原理 宇宙根源の法則なんてものと

合一して仏になるというのが、密教や日蓮


宇宙の根本原理 宇宙根源の法則を

人格化した神や仏なんてものに

救済してもらうことを求めたのが、一神教や念仏


宇宙の根本原理 宇宙根源の法則なんてものしか

存在しないというのが、禅



仏教と、一神教との違いは

宇宙の根本原理 宇宙根源の法則なんてものが

自己に内在するかしないか ということです





パルメニデス、プラトン、ヘーゲルといった人たちは

宇宙の根本原理 宇宙根源の法則なんてものがあることを

前提として、「善」とはなにか?

「正しい生き方」とは何か? を、あれこれと説いたということです



すなわち、彼らにとっては

宇宙の根本原理を、理性(魂)によって体験し

宇宙の根本原理にかなった人間の生き方を

文字として表すことが「哲学」であったわけです




パルメニデスの「ある」 ②




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