緋山酔恭の「価値論」 価値とはなに? 真理とはなに? プロティノスの「一者」



価 値 論


q第四章

真理とはなに?


 




【 パルメニデス 編 】




プロティノスの「一者」



プラトンと、プラトンの後継者らの考えに類似する思想を

「ネオプラトニズム」(新プラトン主義)といいます


特徴としては

① プラトンのイデア論を継承し

万物は一者から流出したものと捉えること


② プラトンの思想を中心に

その他のギリシア哲学(アリストテレス、ストア学派

新ピタゴラス学派など)を取り入れて総合したもので

さらにオリエントやエジプトの神秘学をも取り入れていること



前3世紀の プロティノスに始まり

ルネサンス期のイタリアでも盛んであったといいます



ルネサンス期の代表 マルシリオ・フィチーノ(1433~1499)は

「美」を求めるの運動が「愛」であり

生物のもつ「美」 → 「イデア」 → 「一者」と一緒になろうとする

プラトン的な愛(プラトニック・ラブ)によって

人間は神の領域に近づくことができると考えたようです


また、キリスト教神学と

プラトニズムとは根源的に一致すると考え

両者の融合を理論を展開したとされます




創始者とされる プロティノス〔前205?~250・

古代ローマの哲学者。エジプト出身〕は

「一者」という考えを打ち出しています




プロティノスの考えは、このような↓ものです


≪ 万物(霊魂も物質も)は

善のイデア=完全なる一者(ト・ヘン)から流出した

ヌース(精神・理性・知性)である


高次な精神世界より、低次な物質世界へと流出は進み

最終的にこの世界が形成された


この過程を逆にたどることで

高次な世界、純粋な精神世界へと至ることができる



一者への愛(エロース)によって、一者と合一することができる

一者と合一し、忘我の状態に達することをエクスタシスというが

エクスタシスに至れるのは、ごく少数の人間である



一者は無限の存在で、流出によって増えたり減ったりしない

太陽のような存在であり、光から遠ざかれば暗くなるように

霊魂や物質にも高い・低いの差がある ≫




霊魂のレベルに、高い・低いの差がある

という考え方は、幸福の科学、オウム真理教の中心思想になって

そうした教義の原点がみられます



また、一種の一元論であり

神秘主義〔神や宇宙の原理などという

究極の存在との合一を説く立場〕です





ついでに、プロティノスの「美」についての

考えをまとめておくと


≪ 物体は、ある時は美しくある時は美しくないから

物体であることと美しいこととは別である


物体に「美」を感じるのは

そこに何らかの精神を引きつけるものが存在するからであり

精神と同質のロゴスが存在するからである



つまり、美の原理は

均整(きんせい)などではなく

ロゴスの根源である一者としての神である


一者(神・善のイデア)、ヌース(精神・理性・知性といったロゴス)

諸徳のイデア、存在の形相、質料 の順序で

美の表現が成立しているのである ≫ となります




【 釈迦と禅と天台 編 】

天台の空・仮・中の真理





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