緋山酔恭の「価値論」 価値とはなに? 真理とはなに? ヘラクレイトスの「ロゴス」



価 値 論


q第四章

真理とはなに?


 




【 パルメニデス 編 】




ヘラクレイトスの「ロゴス」



哲学史において

はじめて「ロゴス」という概念を用いたのは

「万物のアルケー(根源)は火である」と説いた

ヘラクレイトス(前540頃~前480頃)だとされます



ロゴスとは本来「言葉」を意味するとされていますが

今では、根拠、概念、定義、説明、理由、論証、論理

思想、意味、言語、理性、真理など

様々な概念を意味する言葉として使われています



「ロゴス」(論理)と「パトス」(感情)のように

パトスの対比的な言葉としても使われています




≪イエスは、唯一神のロゴスである≫と語られた場合

ユダヤ教の唯一神 ヤーウェ(エホバ)の

「属性」といったような意味ととらえられます


とくに「属性」のなかでも「受肉」ということになるはずです




ヘラクレイトスのいう「ロゴス」とは

≪根源的な法則・摂理≫といったところでいいと思います




世界で最初の哲学者とされる

タレス(前624~前546頃)は

「万物のアルケー(根源)は水である」


「全ての存在が水から生成され、そこへと消滅してゆく

世界は水からなり、水に帰る」と唱えましたが



ヘラクレイトスのいう

「万物のアルケーは火である」というのは

タレスとは異なり

あくまでロゴス(法則・原理)の象徴しての「火」ということになります





彼は、≪万物は流転している 自然界は絶えず変化している

しかしその背後に変化しないもの「ロゴス」がある≫としています



また、ヘラクレイトスは、流転(変化)とともに


「闘争」を万物の根源と見なし

「闘争は万物の父である」と述べています



「昼と夜」「生と死」「神と悪魔」

「愛と憎しみ」「善と悪」これらが争い


火のように左に振れたり右に振れたりしながら変化し

自然の秩序を保っていると考えたようです




さらに、彼は「上り坂も下り坂も、1つの同じ坂である」

という言葉を残しているように


「光と闇」「昼と夜」「生と死」「神と悪魔」「愛と憎しみ」「善と悪」

そういったものは同じものが変化したと考えたといいます




つまり、表層的には左右にゆれて変化するが

もともと「一」である という世界の根源的な法則・原理こそが


ヘラクレイトスのいう

「ロゴス」であり「火」なのわけです





タレスは、どのような形にも姿を変えられる

「水」を万物の根源と考えたのに対して


ヘラクレイトスは

火というものは、燃えるということと、消えるということとが

同時におきていることから


闘争を象徴するものとして

「火」という言葉を用いたともいいます






現実の世界は

空(一瞬一瞬変化している・変化してやまない)であって

安定的ではありません


しかし、我々の思考は、合理性を求めるので

世界を「安定性」の枠組みでとらえたいという欲求があります



そこで、我々は、現実世界を超越した

「ロゴス」や「神」といった存在を創造し

法則性、秩序性、永遠性 の象徴としたのではないでしょうか・・・・




すなわち、世界を「安定性」の枠組みでとらえる

という必要性=価値 から

「ロゴス」や「神」といった言葉の世界が

組み立てられてきたということです




プロティノスの「一者」




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