【 釈迦と禅と天台 編 】 チベット仏教と仏性 大乗の「空観」を確立した 竜樹(りゅうじゅ・150~250頃)の立場は 全ては空であり 因と縁の和合によって仮に生起したものであり 実体がなく、自性(固有の本質)を持たない 無自性である というものです ● 竜 樹 (150~250頃) サンスクリット名 ナーガールジュナ インド大乗仏教2二大教派の1つ 」 中観派(ちゅうがんは・空の哲学の形成に努めた教派)の祖 大智度論… 百巻。大品般若(だいぼんはんにゃ)経の注釈書 空の思想の他、菩薩思想や六波羅蜜の修行を詳しくあかし 小乗教および外道(仏教以外の宗教)を破折 大乗思想の基礎を確立した書 大乗仏教では釈迦に次ぐ重要な人物 日本でも八宗(平安時代までの日本の全ての仏教宗派)の祖と呼ばれ 日本の諸宗は全て竜樹の影響を受けている 竜樹の無自性という立場は 日本の仏教のほとんどが 固有の本質として 仏性〔如来蔵(にょらいぞう〕を認めるのに対して 如来蔵を認めず 如来蔵は衆生を修行に導く方便である としているということです なお、竜樹は、仏性の存在は否定していますが 仏とは、色(生命の物質的側面)と心(生命の精神的側面) つまり生命全体にあらわれるものとしています つまり「境涯」のことを指すと言えます チベット仏教では、竜樹の空観を継承しています 中観派の「空」「無自性」を継承しています チベット仏教において 「他空常堅」という如来蔵思想を唱えたチョナン派は 1642年のダライ・ラマ政権成立以後、邪教として禁圧されました 他空常堅とは、全ての存在の本質に如来蔵の存在を認め その他の煩悩や汚れのみが空というものです なお、チベット仏教の国であるモンゴルの最大の活仏が チョナン派のジェプツンダンパ(聖尊者)です 如来蔵=仏性の存在を認めた仏教が邪教となると 日本の仏教は、全部、邪教ということになります(笑) なお、≪仏性が内在する≫ということになると 以下のような論理も成り立つのです 【 祈ることで、悪業の報い(経済苦や病苦)が、消える そうではない これでは、仏教の根幹である因果の法則に反する 昼間の空にも星々は存在するが、太陽の光で星が見えない これと同じで、本尊に祈ることで仏性が顕現される すると、因果の報いなど気にならなくなるのである 】 【 悟りとはなにか? 編 】 ( 価値論 根幹部b ) 釈迦の真理は正しいか? 「性起説」と「性具説」 (ひとつ戻る) |
|